<総評> 清水 哲朗

「自由部門」「ネイチャー部門」合わせて応募者100名強、約530点の応募がありました。

全国屈指のハイレベル作品で競う新潟だけあってさすがに見応えは十分。プリントクオリティも高く、安心して作品世界に入ることができました。
人気の高い「自由部門」のバラエティ度、レベルの高さは今回も驚きの連続でしたが、前回印象が弱めだった「ネイチャー部門」も大いに健闘。懸念していた部門によるレベルの偏りが改善されていたのは素直に嬉しく思いました。

ひとつ気になったのは「タイトルのつけかた」。見た目の印象をそのままつけている作品が多く、見る側としてはイメージが広がらず、そのたびにがっかり。上質な作品に陳腐なタイトルがついているのは、あまりにももったいない。いくら写真が上手でも表層的にしか被写体を見ていないとそのようになるのかもしれません。
個性的な視点の持ち主は作品もタイトルも実に個性的です。タイトルをつけることに苦手意識を持っているかたもおられるでしょうが、撮影時に労力を惜しまないのと同様に、タイトルも吟味してつけていただければと思います。
なお、私の審査では写真内容で順位を決定しているためタイトルの良し悪しで大きく変動することはありませんが、審査員によっては見ればわかる説明的なタイトルを嫌い、結果に反映させる場合がありますのでご注意を。

今回応募された作品(選外も含めて)の多くはカメラ誌や全国レベルのコンテストにおいても十分高く評価されるレベルでした。この結果に満足・落胆せずに、さらなる高みを目指してあらゆるものに挑戦し続けていただけたら幸いです。

最後になりましたが、FPC新潟フジカラーフォト倶楽部さまのご発展と会員の皆さまのご健勝を心よりお祈り申し上げます。

グランプリ



グランプリ

撮影者: 石井文博

題名 : 「大天狗の舞」

撮影地: 長野県飯山市

講評 : 長野県飯山市奈良沢神社の祭礼。2m余りの松明を振り回し、昇龍の如く炎が舞う迫力の瞬間を無駄のない画面構成でスケール感一杯に表現しています。猿田彦の角度といい、周囲の人々の絡めかたといい絶妙なポジション選びです。火祭りは「こう撮りたい」というイメージはできても炎の露出が難しく、白とびする場合もあります。それらをクリアして自身の描くイメージ通りに着地させた高い技量はまさにグランプリにふさわしいでしょう。

自由部門



金賞

撮影者: 行方ひで子

題名 : 「イヤースポット」

撮影地: 東京都

講評 : 写真の神様が微笑んだのか、狙っても撮れない奇跡的な瞬間をとらえた傑作。男性の頭上には信号機と防犯カメラの影。壁に耳あり障子に目あり。どこを見ても監視監視の世の中を揶揄した作品にも見えます。最低限の情報で想像力を大いにかきたたせてくれました。



銀賞

撮影者: 鴨井孝夫

題名 : 「撒与」

撮影地: 長岡市

講評 : 今まさにそれを投げようとする赤ら顔の宮司と手を伸ばして待ち構える男衆の興奮が作品を通じて臨場感一杯に伝わってきます。この後に放物線を描く軌道を意識していたのか、左上を空けた大胆な空間構成はなかなか真似できるものではありません。見事な一枚です。

銅賞

撮影者: 堅田征子

題名 : 「Passion」

撮影地: 新潟市西区

講評 : ある程度のイメージはできてもどのように写るのかは運次第のスローシャッター表現。失敗のリスクも高いアプローチですが“表現”とは常にトライ&エラーの繰り返し。果敢に攻めた結果が最高の結果を生みました。ステップを踏む音と伴奏が聞こえてきそうです。

優秀賞

撮影者: 上野正道

題名 : 「投網漁」

撮影地: 新潟市北区福島潟

講評 : 水を打ったような静けさの中に網が投じられた瞬間を最高のタイミングでとらえています。主題をあえて画面内に小さめに写すことで周辺空間が生かされ、余韻も広がりました。

優秀賞

撮影者: 小山覚

題名 : 「ハッピークリスマス」

撮影地: 新潟市西区 済生会病院

講評 : ややもすると小児病棟を訪れたアルビくんやチアリーダーズを主題にしがちですが、一所懸命に声援を送る子供たちにピントを合わせた判断が秀逸。タイトルも心に響きました。

優秀賞

撮影者: 吉田 寛

題名 : 「ネーネー何々!!」

撮影地: 東京都

講評 : 街中で3人が身を寄せ合ってまで見たくなるものって何でしょうね。答えは視線の先にありますが、画面には写ってはいません。見る側の好奇心を巧みに煽る良いアプローチです。

優秀賞

撮影者: 山本勝栄

題名 : 「視線」

撮影地: 三条市(自宅)

講評 : 何かを伝えようとする瞳はまさに「目は口ほどに物を言う」。その表情をあえてのぞき見るような隙間からとらえることで見る側の想像力をかきたて、感情移入を誘っています。

優秀賞

撮影者: 是永進

題名 : 「みなぎる青春」

撮影地: 加茂市

講評 : 明らかにカメラを意識したポーズですが、傾けた画面からは作者と女生徒との楽しいやりとりが聞こえてきそうです。こいのぼりや周辺環境の配分バランスもちょうど良いです。

自由部門入選



入選

撮影者:柏 行雄

題名 :逃げろ

撮影地:新潟市西蒲区上堰潟



入選

撮影者:笹川 和子

題名 :抜き足差し足

撮影地:東京銀座



入選

撮影者:十文字 克浩

題名 :音色

撮影地:新潟市



入選

撮影者:高橋 旦子

題名 :火の粉舞う

撮影地:能登宇出津



入選

撮影者:塚原 幸子

題名 :夕照

撮影地:新潟市東区



入選

撮影者:穂苅 環

題名 :優雅

撮影地:佐渡市



入選

撮影者:手島 岱月

題名 :ママーどこー?

撮影地:新潟市中央区



入選

撮影者:髙橋 徹哉

題名 :厳かに

撮影地:佐渡 相川



入選

撮影者:渡部 義明

題名 :待ち合い

撮影地:東京都



入選

撮影者:渡辺 治

題名 :雪降る中

撮影地:佐渡市羽茂

ネイチャー部門



金賞

撮影者: 金子範夫

題名 : 「瞬光」

撮影地: 妙高市

講評 : カメラの発展により手軽に星景写真が撮れる時代になりました。しかし、誰もがそのアプローチをすると個性的な表現をしなければ「よくある写真」としての評価しか得られません。星と火球が写り込む苗名滝はあまりに珍しく将来的にも撮れる人は限られるでしょう。



銀賞

撮影者: 斎藤日出子

題名 : 「初夏の彩り」

撮影地: 佐渡市 外海府

講評 : 広角レンズでとらえた、岩ゆりの群落。肩を並べて元気一杯に咲いている様子はカメラの前ではしゃぐ子供たちのようにも見えます。画面下半分のにぎやかさに対して、画面上の静けさが対照的。静と動のバランスが心地良く、いつまでも眺めていられる作品です。

銅賞

撮影者: 青木茂男

題名 : 「光芒の避暑地」

撮影地: 長野県 軽井沢

講評 : 思わず息をするのも忘れてしまうほど、美しく神々しいですね。こういう光景に出合うと被写体に撮らされてしまう人が多いですが、作者は落ち着いて、渓流と森、太陽を細密なバランスで切り取ることに成功しました。大きくプリントして部屋に飾りたいですね。

優秀賞

撮影者: 柄沢鉄衛

題名 : 「雪の花」

撮影地: 長野県 関田峠

講評 : 朝日を浴びてオレンジ色に染まる水蒸気。根明けがあることから初夏の光景というのがわかります。単写真発表よりも、組写真に入れたほうが良い効果を与えてくれそうです。

優秀賞

撮影者: 立川政義

題名 : 「冬の湖水」

撮影地: 福島県北塩原

講評 : 被写界深度を深くし、画面内の隅々まで細密に描写したことで寒さと緊張感が伝わってきます。現実世界と水面に映るほの暗い世界に+αがあったならば、さらに高評価でした。

優秀賞

撮影者: 吉川一重

題名 : 「母と子」

撮影地: 長野県 上林

講評 : サルの親子のポートレート。瞳にはキャッチライトも入り力強さを感じます。しかし、なぜこのような表情をしているのかが説明不足。作品内かタイトルに情報を入れましょう。

優秀賞

撮影者: 田辺佳代子

題名 : 「秘密の舞踏会」

撮影地: 五泉市

講評 : 丁寧に画面構成された小川の風景とホタルの光跡により独特の世界へと誘ってくれます。最近は画像を重ねたホタルの乱舞写真が多いですが、このぐらいの方が儚くて心打ちます。

優秀賞

撮影者: 村山勝也

題名 : 「破間川の流雪」

講評 : 一見流氷かと見紛う、山間のダムに浮かぶ春先の限られた時期にしか見られない珍しい光景をスケール感たっぷりにとらえています。奥まで続く壮大な景色に魅了されました。

ネイチャー部門入選



入選

撮影者:相田 保

題名 :寒い朝

撮影地: 三条市



入選

撮影者:石田 誠善

題名 :夏至の日

撮影地:新潟市北区 福島潟



入選

撮影者:木南 雄平

題名 :新緑の頃

撮影地:佐渡市



入選

撮影者:上杉 正春

題名 :白の流れ

撮影地:佐渡市



入選

撮影者:須田 孝子

題名 :巣作りの頃

撮影地:柏崎市



入選

撮影者:野島 俊介

題名 :初夏緑風

撮影地:胎内市 飯豊連峰



入選

撮影者:長谷川 隆

題名 :暮れ行く漁港

撮影地:弥彦山



入選

撮影者:斎藤 達彦

題名 :月あかり

撮影地:佐渡市



入選

撮影者:山中 巌

題名 :若葉

撮影地:新潟市



入選

撮影者:山本 洋子

題名 :Sweet drops

撮影地:自宅