第11回も審査させて頂き、新潟フジカラーフォトコンテストにご応募された方たちの実力に唸らされました。昨年を上回るご応募にも感動いたしました。厳しい接戦になりましたが、一枚ずつ一喜一憂し、審査を楽しくさせて頂きました。
写真のクオリティーだけでなく、個性を重んじて審査をさせて頂いたので、きっと、審査結果を見て「どうしてこちらを選んだの?」という声もあると思います。それは、今までにあまり見ない写真を選考したかったからです。今までの受賞作も拝見させて頂き、素晴らしくともどこかで見たような写真ではなく、新鮮な写真を念頭に選びました。
技術は、磨けば磨くほど良い写真は撮れます。「あの写真家みたいな写真が撮りたい」とか、「あのカレンダーみたいな写真が撮りたい」など、初めは真似をすることで満足されていたと思います。ですが、他の人が撮れない写真を撮ってこそ、楽しみは増えますし、技術も向上します。自分の美意識を崩すことなく、オリジナリティーを出しすことは大変ですが、撮れた時の喜びはひとしおです。そこには見たい、見せたいと思う自分らしさが追求されているのです。「ここから撮れば完璧だ」という構図で終わらず、角度を変えてみたり、手前に何かを入れてみたり、しゃがんでみたり、想像力をもう一歩前に押し出してみてください。自分の殻を破ったところに新しい写真の姿があります。もっと自由に写真を撮ってみると、また始めた頃の楽しさやワクワクが倍増します。写真は自分自身を写す鏡です。どんな自分になりたいか、写真で探ってみてください。
最後に、写真は撮った後で「ちょっと違うな」と思っても、トリミングをしたり、プリントをコントロールすれば生き返ります。そういう意味で、新潟フジカラーさんは仕上げの強力な味方です。自分だけで妥協せず、プロに相談し、協力してもらいましょう。
第11回新潟フジカラーフォトコンテストの素晴らしい作品に出会えたことに感謝します。 どうぞ、自分にしか表現できない写真を撮って下さい。また、いつかご一緒できるときを楽しみにしています。ありがとうございました。
写真家 安珠
グランプリ
撮影者: 蝶名林 稔 燕市
題名 : のどかな山里
講評 : 緑豊かな山里で、子どもたちの自然な様子とヤギが首を長くのばして草を食べる様子が微笑ましいですね。本当にのどかな風景です。このような風景だと雄大さを出そうと空を入れて抜け感を演出しますが、曇りで味気ない白い空だったのでしょう。空を入れずに木々と山までの背景にしましたが、後の山が単調ではなく雰囲気がありました。斜めになっている木々の構図もいいですね。そして、水面の中の山の上に白く抜けた空が映っています。水面に反射した空を上手に入れて、抜けを下部に出しています。それで、写真全体の空間の広がりが出ました。幼い子どもたちが誰一人欠けることなく、水面にも楽しそうな姿が映し出され、微笑ましさが倍になっています。
金賞
撮影者: 小林 敏行 新潟市西区
題名 : 無人踏切
講評 : 青い闇の雪と空に囲まれた踏み切り。空の配分がいいですね。通過する電車をスローシャッターで撮ったことにより、カタチが光のラインとして残りました。そのことで、踏み切りの信号の存在感が出ました。電車に信号の光の影も映り、幻想的な印象になりました。
金賞
撮影者: 小山 覚 新潟市西区
題名 : 二人と二人
講評 : 大の字になり、草の匂いを楽しんでいますね。画面からはみ出したオブジェと女性の足がスケール感を出しています。後の観察する子どもたちの様子も可愛らしく、写真の中で着用しているふたつの赤いティーシャツが、ポイントになっています。
金賞
撮影者: 長沼 仁司 新潟市西蒲区
題名 : 春爛漫
講評 : 面白い写真ですね。下の巫女さんたちだけなら、絵葉書のような美しい写真ですが、そこに恋人同士がこちらに来ています。間には作業をするトラック。その二つで、一気に日常の空間になりました。左右の桜と影の入り方とボケ具合の按配もよく、ほのぼのとした春の日が写し出されています。
銀賞
撮影者: 小林 輝夫 阿賀野市
題名 : 接近だ
講評 : ワイドレンズでグッと接近。ストロボで猫の目もキラリ。満開の桜と髪の毛が放射線状になり、面白い構図になりました。桜とリードのピンク色が少女の可愛いらしさを演出しています。
銀賞
撮影者: 近藤 武夫 新潟市中央区
題名 : おばあちゃん
講評 : 窓からの光に照らされ、針仕事をしているところでしょうか。とても自然な良い表情を引き出して撮影されました。部屋の様子を入れたことで、物を大切にする人柄もわかります。
銀賞
撮影者: 樋口 圭一 新潟市西区
題名 : 福をつかむのは誰?
講評 : 誰もが福をつかもうとしている真剣な眼差し。上の照明を受けて、全員の瞳がキラキラと輝いています。的確な露出と満員の室内を画面に収めたレンズ選びは正解です。
銅賞
撮影者: 上野 正道 新潟市中央区
題名 : 草原のカリブー
講評 : カリブーとはトナカイのこと。 カリブーと太陽が重なり、荘厳な世界になりました。雲の表情と影でカリブーの威厳が表現されています。逆光で、他の邪魔なものが隠れました。
銅賞
撮影者: 小川 彰弘 新潟市南区
題名 : ナイスキャッチ?
講評 : 学校での田植えでしょうか。投げた苗木は泥があり、逃げ越しの友だちと目をつむってキャッチする少女。楽しそうです。ちょうどいい高さでの撮影ですね、ナイスタイミング。
銅賞
撮影者: 川田 淳 加茂市
題名 : 明日はどっちだ
講評 : 人生は単純ではありません。彼らを包む暗雲の雲に象徴されます。ですが、上の方に一筋の青空。それが三人の明日の行方に光をさしているように思えます。物語を感じますね。
銅賞
撮影者: 渋木 高志 三条市
題名 : 成人の日
講評 : 華やかな晴れ着姿でも携帯を手放さない彼女たち。風に吹かれている彼女たちが雪の上で滑らないか、迷惑をかけないか心配そうに注意する警備員。位置も対照的な関係も面白い。
銅賞
撮影者: 鈴木 万平 新潟市西区
題名 : 桜咲く頃
講評 : とても好きな作品です。子どもと先祖を思いやるお墓まいりの景色を見事な八重桜の下に撮りました。左下のお地蔵さんもアクセントになり、坂道で全体がよく写っています。
銅賞
撮影者: 大坂 鉄平 新潟市西区
題名 : 遊ぼうよ
講評 : 母親が新聞に集中しているので、つまらないともたれかかっている子どもの姿が可愛いですね。子どものピンク色の浴衣と窓に伸びた朝顔が平和な夏の日を感じさせます。
銅賞
撮影者: 立花 敏仁 五泉市
題名 : ヤギと少年
講評 : ヤギは少年が大好きなのでしょう。微笑んで少年に顔を擦り寄せています。彼らを取り巻く色も春らしく、下から見上げて撮ったので、大きな青空がのどかさを演出しています。
銅賞
撮影者: 行方 ひで子 新潟市西区
題名 : 里山に咲く
講評 : 合掌作りの里に咲く満開のコスモス。コスモスに視線を集中させるため、合掌作りの三角の屋根を入れず撮ったのが成功しています。灯りで夕暮れを感じさせます。
銅賞
撮影者: 野崎 洋子 新潟市秋葉区
題名 : 龍の禊
講評 : 煙を吐く龍が勇ましいですね。四隅を余すところなく使用し、赤い玉を掲げている距離も
絶妙です。日の入り方も味方になって、お祭りの儀式の素晴らしさが写っています。
金賞
撮影者: 浅間 宏志 上越市
題名 : 暮照
講評 : 夜が迫っている闇にうっすらと青い雪景色。そこに雲が燃えるようなタッチで描かれている夕景を写す水辺。 見事な夕景に枯れ木が映り込み、冬を物語っています。 どの位置なら水面に木々が収まるように映り込むか工夫されたのでしょう。それがこの写真の決め手です。
金賞
撮影者: 石井 貴子 燕市
題名 : 無邪気
講評 : こんなにも無邪気な顔をして遊んでいる猿の子どもを見たことはありません。ふわふわした毛や真っ白な歯が子どもらしく可愛いいですね。雪の中で転がって遊んでいるのが毛についた雪でわかります。寒さで赤くなった顔や指先は人の子どもと同じで、愛着のわく写真です。
金賞
撮影者: 佐藤 圭 北海道留萌市
題名 : ふくちゃん
講評 : ふくろうなので、ふくちゃんなのですね。写真の良し悪しは被写体で決まるとも言いますが、この写真はふくちゃんの勝利です。と言っても、後の輝くような緑とボケ具合とこちらを向いたつぶらな瞳。可愛らしさを余すところ無くよくぞ撮られました。
銀賞
撮影者: 岡部 文彦 新潟市東区
題名 : 落花を愛でる
講評 : 水面に生い茂る緑が映り、命の息吹を感じます。そこに落花に舞い降りたトンボが影を連れ、鏡のようです。 前ボケの葉がアクセントになり、奥行きを出してより優美にしました。
銀賞
撮影者: 小関 淳司 新潟市西区
題名 : 浜千鳥群生
講評 : 海、鳥、砂の三つに分割されています。海の右上は明るく、 鳥の群れは右下がりで、 その下の砂光は直線です。すべて絶妙な加減で美しい三分割のバランスが保たれています。
銀賞
撮影者: 斎藤 達彦 佐渡市
題名 : 求愛
講評 : 新潟県の鳥である「とき」。羽の黒色から繁殖期だとわかります。珍しい写真ということですが、 二匹の影が水面に映り、 水辺の水飛沫が飛び、自然な勢いのある様子を伝えています。
銅賞
撮影者: 石倉 盛夫 新潟市秋葉区
題名 : 希望の明日へ
講評 : 雪が積もり、凍りかけた湖に雪のように白い白鳥の群れ。それだけで美しいところ、暗い世界に傾いた陽が水面をうっすらと照らし、白鳥を浮き立たせ、独特の世界を作り出しています。
銅賞
撮影者: 石田 誠善 新潟市中央区
題名 : 至福の時
講評 : ポーズを決めて花の蜜を吸う鳥。鳥は枝と同じ色合いの羽で、うっすらと感じるボケた背景も同色だから花が目立ちます。後の交差した枝が模様のようになり鳥を引き立てています。
銅賞
撮影者: 金子 範夫 三条市
題名 : 晩秋の彩
講評 : たわわに実る柿の木群。日中見ても見事に大きな柿の木を星降る夜に幻想的に撮影されました。惜しいのは、右の柿の木の抜けがあればもっと上の賞を狙えたことです。トリミングされてもよかったですね。
銅賞
撮影者: 熊木 理 新潟市西区
題名 : 俺様
講評 : モノクロにしたことで、爬虫類のリアルさよりも威厳が写っています。光の当たり方も強弱があり、うろこの描写やボケ具合も美しい。俺様顔ですが、好感が持てます。
銅賞
撮影者: 栗林 栄市 長岡市
題名 : 一休み
講評 : 背景の色のグラデーションと葉のウエーブがトンボと蕾の脇役として生かされています。トンボの羽が蕾を抱えるように折れているので、蕾と会話をしているように見えます。
銅賞
撮影者: 斎藤 日出子 佐渡市
題名 : 夕照の浜辺
講評 : 夕日の中の群衆の浜昼顔は圧巻で美しいですね。惜しいのは夕方なので少し花が縮んでいます。それもリアルで良いのですが、ピントを海の方にずらしたら上の賞を狙えたかもしれません。
銅賞
撮影者: 佐々木 壽英 新潟市西区
題名 : 越後平野の夜明け
講評 : 水田に映る朝焼け。この時期にしか撮れない風景ですね。色のグラデーションも美しく、太陽が沈んだ直後なのでしょうか。刻一刻と変わる色合いの儚い美しさを撮影されました。
銅賞
撮影者: 茂野 孝志 十日町市
題名 : 野生の眼
講評 : 斬新な切り取り方の勝利です。何の動物かわかる限界のアップです。 暗い背景に浮き出た濡れ目は、何を言いたいのでしょう。見ているのはこちらではなく、見られている気になります。