新潟フジカラーフォトコンテスト 第13回結果発表
<総評>
昨年と今年、2回にわたり審査をさせていただきました。今年の作品は昨年の作品よりも色々なジャンルの作品が多かった様に思えました。また作品のクオリティも上がったように感じました。ひとつには今年の作品の方が、プリント色合いがより的確に美しく、また撮影者のオリジナリティを感じさせるプリント仕上げの作品が多く思えました。それぞれがどの様な作風で最終的に作り上げるかをイメージし出来上がりにする。そういう過程までも作品を通して感じてきました。審査をしていてとても楽しく拝見させていただきました。
グランプリに輝きました川田淳さんの「よりそう」も、単に自然のシーンを撮影されたということだけでなく、やはりそこには撮影者の視点、発想、想い、と言った感覚的表現を上手に写真にしたといえるでしょう。そして美しい光を見逃さずにそこを撮ろうと考えたことが、この作品全てに表れていると思います。
準グランプリ鈴木勝年さん「年の瀬」はその土地に生きる人たちの姿を真正面からではなく、その時の状況と目には見えない何か感じる空間を構図にまとめ撮影されえていることが、しっかりとした力のある作品となっているのだと思いました。
日常に生活をしている中で、感じたこと伝えたいことを写真におさめることが表現をする楽しさ、写真を撮ることの楽しさだと私は思います。これからどの様な人生が続くのでしょう。その時、その時に感じたことを写真を撮り、プリントをして残してゆくこと。またそれを続けてゆくことが大切なのだと思います。デジタル時代の今だからこそ、よりプリントをする意味があると思います。プリントにした事で自分の写真をじっくりと見つめ直すこともできます。そこから新たな発見もあるでしょう。
プリントをしてコンテストをすることは、自分の作品を見つめ直す意味でもとても貴重なコンテストだと思います。
次回も多くの皆さんの素晴らしい作品がこのコンテストにご応募される事でしょう。とても楽しい審査でした。これからもたくさん写真を撮り続けていてください。
平成31年3月吉日
写真家 佐藤 倫子
グランプリ

グランプリ
撮影者 : 川田 淳
題名 : よりそう
講評 : 光の美しい中、二本の綿毛となったタンポポはスポットライトが当たっているかのように見えます。健気に寄り添うそのタンポポは、まるで人生を色々な楽しいことや悲しいこと苦しいことを共に助け合って必死に生きてきた老夫婦かの様にも見えてきます。光と陰のある背景の中がそう連想させるのかもしれません。緑色の落ち着きある色合いもこの作品イメージと合う配色です。白色の2点から目が離れない、一見地味に見えるかのようなこの1枚の写真から静かな力強さが伝わってきます。
自由部門

金賞
撮影者: 小湊 正光
題名 : コレクション?
講評 : 何か特別なシチュエーションという訳ではない景色を、構図の切り口を絶妙な感覚で撮影されています。撮影者の視点の良さを大いに表現されている写真です。また嫌味のないスマートな表現をしています。モノクロで太陽、影、をメリハリのあるプリントに仕上げられています。部屋に飾りたくなる、そんな写真です。

銀賞
撮影者: 石井 貴子
題名 : 炎の巫女
講評 : 巫女の美しさに目を離せなくなります。凛とした強い姿勢を感じます。その背景に猛々しく燃えている炎が巫女の心情を表現しているかの様です。繋がりを感じる構図をしっかりと撮影しています。色の表現もオリジナリティある見せ方をしている作品です。

銀賞
撮影者: 大澤 昭広
題名 : 朝の窓辺
講評 : 窓ガラスにある細かい模様が光に当たり、独特な色になっています。手前、グラスの中に入っている紫色にも目に留まります。写り込む枝木のシルエット、室内のシルエットが窓ガラスを挟んで現実と非現実との境をつなげているかの様です。不思議な空間の1枚です。

銀賞
撮影者: 斎藤 達彦
題名 : 受け継ぐ
講評 : どこかの集落での祭り事の1コマでしょうか。神社の境内で、五人の子供の目に面をつけて座る様子はそう連想させます。左の三人が緊張した面持ちでいる様に思え、どの様な祭りなのかとても興味が湧いてきます。
銅賞
撮影者: 石井 文博
題名 : 晩夏
講評 : 日常のよくある光景でしょうが、雰囲気ある写真です。外から入り込む光は優しく、普段使われている椅子やクッションのズレ加減、扇風機の配置も自然です。一輪の向日葵がそっと置かれていて、存在感がある詩的な写真です。
銅賞
撮影者: 是永 進
題名 : 今年はおいしいよ!
講評 : のどかで平和を感じる写真です。カカシの2体ある人形の右側が落ちているあたりがまた平和的です。背景に青々とした気持ちのいい空を目一杯入れ、色鮮やかな作品となっています。
銅賞
撮影者: 髙井 美恵子
題名 : 今年も豊作!
講評 : お米の収穫時の写真でしょうか。手前の農業女性を手前に見切り、構図に始まりメインの米、背景の青空、森。収穫している人、様子を伺う人、へと視線の動線ができている様です。色合いも豊かです。
銅賞
撮影者: 寺澤 達夫
題名 : 孫への想い
講評 : 祖父のその優しい視線、年季の入った手、しっかりと結んだ指先、とてもいいシーンです。孫の口角が上がってキュッと結んだ口元も可愛らしく、この二人の絆を感じる写真です。
銅賞
撮影者: 外山 和子
題名 : 全身全霊
講評 : 祭り酒樽の神輿を勇ましく男性達が持ち上げていて、その上に女性が両手を広げポーズが決まっています。背景に電線ライン、空を構図に上手くまとめています。
銅賞
撮影者: 西山 雅之
題名 : 祭の遊び場
講評 : 見ている側が幸せになるショットです。祭りの最中なのでしょうか、鉢巻の似合う子供達。友達を石の上に上げようと手を差し出している仕草に優しさを感じます。下に居る横顔男の子の見守る様な表情が印象的です。
銅賞
撮影者: 星野 康明
題名 : 神の使い達
講評 : 大きな旗でしょうか、画面一面に、そして手前の祭り人がシルエットで写されていてとても印象に残る、強い作品となっています。祭り人がどの様な表情をしているのか、想像が膨らみます。
銅賞
撮影者: 宮口 吉治
題名 : 寒行
講評 : 横なぐりの吹雪の中、托鉢中の僧侶でしょうか。吹雪の中、どんな人が歩いていたのだろうと考えてしまいます。いいシーンを捉えています。雪で大変な状況の中、作者の撮影根性をも伝わってきます。
銅賞
撮影者: 鷲尾 顕一
題名 : 染み渡り
講評 : 真っ白の中、子供が歩いている様子をデザインの様に切り取っています。子供達の歩く道ラインと地平線ライン、空へ続くグラデーション。まとまり良く絵になる1シーンを捉えています。
ネイチャー部門
金賞
撮影者: 茂野 孝志
題名 : 流木
講評 : 水の反射が鏡のようです。そこにある流木が強い印象となり存在しています。背景にある波の動き、海と赤の染まりが美しい空をしっかりと捉え、その手前砂浜の黒い部分と水反射の対比が絶妙なバランスで構成された構図は、クオリティの高い作品となっています。
金賞
撮影者: 三浦 ヒロイ
題名 : 落陽の田
講評 : 花びらに当たる逆光の光と田んぼ水面に映る光のラインが真っ直ぐにメインの花と繋がっています。花の茎うねり具合から、植物の生命力も感じさせます。その花を軸に全体へ視点が広がります。黒と黄色系の輝きのみの色合いが、この情景を静かにそして美しく演出し写されています。
金賞
撮影者: 涌井 忠司
題名 : 友禅模様
講評 : タイトル通り、友禅の染め模様のように見え、自然のリアルある写真なのにそうでないかのような独特な質感を感じさせます。
中心にある枯葉の色合いと水面下にある蓮の葉との配置加減が模様の様に見える効果もあります。明るさや色のバランスが独特で撮影者のセンスの良さが表われています。そして構図を上手にまとめています。
銀賞
撮影者: 石田 進
題名 : 春を味わう
講評 : まるで春の訪れを喜んでいるような表情に見えます。全体の光の加減や背景の青空色から、スズメのさえずりや春のうららかな日和を想像させます。桜を咥える珍しいシーンもこの作品のポイントです。
銀賞
撮影者: 植木 元
題名 : 初冬稲田薄氷の世界
講評 : 全面がいぶし銀色。いわゆるモノクロとは少し違う色加減が魅力的な作風となっています。被写体をシャープにしっかりと写していることがこの作品をよりインパクト強いものに仕上げています。
銀賞
撮影者: 小田 徹也
題名 : 出逢い
講評 : 上手なポージングをしてその質感が潤いまるでプラスチックの人形のようなカエルがいます。紫陽花の葉にうまく乗りじっとしている様が想像され、上を見上げているのでしょうか、紫陽花と会話をしているようにも見えます。画面ボケ感も綺麗に表現されています。
銀賞
撮影者: 小山 覚
題名 : 朝日の中で
講評 : まるで朝日というイメージを覆して撮影されているような作品です。とても不思議な印象に残る映像となっています。メイン被写体のみにピンポイント光を当て撮影して周りが暗く落とされている明るさの効果でしょう。遠くの朝日は、しっかりと写され、作品仕上げに大事なことです。
銀賞
撮影者: 須田 孝子
題名 : コマ送り
講評 : 何とも可愛らしいのどかなシーンを上手におさめています。五羽の白鳥たちが仲良く同じ動きを順番に続いたのかと想像でき、面白いショットです。背景の山々、空も美しい中、淡々と生き抜く白鳥。それをユーモラスなタイトルでみせる撮影者も面白いです。
銅賞
撮影者: 飯塚 雅人
題名 : 黎明
講評 : 夜明けの様が最高に美しい情景をしっかりと捉えている、そんな1枚です。空の色のグラデーションが美しく表現されており黒の締り、色具合が全体に安定感のある作品を作り出しています。
銅賞
撮影者: 金子 範夫
題名 : 風紋
講評 : 手前のまるで血管のようにも見える地表が続くその先に、真っ暗い背景に立ちそびえる赤い木々。まるで火星で撮影しているかの様な光具合が不思議世界観で表現されています。
銅賞
撮影者: 後藤 茂
題名 : 目覚めの朝
講評 : 蝶の触覚に朝露の水滴が綺麗に玉となり連なっています。その顔をじっと見ていると可愛らしさを感じてきます。さぁこれから朝が始まる!と気合いを入れているところでしょうか。
銅賞
撮影者: 小林 繁子
題名 : 妖艶な森
講評 : 右の手前、木の幹の形が不思議な形に面白く写されており、その上に広がるファンタジックな雰囲気の葉と空の明るさが、タイトルにある妖精な森を連想させます。
銅賞
撮影者: 佐々木 純子
題名 : 夕映え
講評 : 岩々をシルエットに見せ、海の水面に映る夕日の色合い、また波に揺れることでできる色の模様が美しく、全体が無駄のない構図は力強い写真となっています。
銅賞
撮影者: 佐藤 武男
題名 : 翁草
講評 : 光の捉え方をよく見て撮影されています。背景が黒く、花の紫色と葉の緑色が色をきれいに写されています。センターにしっかりと置いた構図で細部までじっと見入ってしまいます。
銅賞
撮影者: 清水 陽一
題名 : 初雪
講評 : とても美しい情景です。画面全体が白雪でフィルターかかっているかのような中で、木の幹、黒い色と紅い実、色が主となり、構図に上手にまとめられ印象的に表現されています。
銅賞
撮影者: 西村 欣一
題名 : 僕の遊園地
講評 : 猿のいつもの定位置なのでしょうか?安心感ある佇まいが表れている様に見えます。ふとした表情の猿の視線が気になります。背景のボケがいい具合で、手前の猿へと視点が集中します。
銅賞
撮影者: 羽田 寿弘
題名 : アモーレ
講評 : 右の鳥が羽を広げ何かを伝えているのを、左の鳥がやや首を傾け聞き入っているかの様です。画面がオレンジと黒色のみでシルエットの鳥の仕草が可愛らしく、楽しい会話をしているイメージが湧いてきます。
銅賞
撮影者: 山中 巌
題名 : やわらかな陽射しを浴びて
講評 : 水面に写りこむ光が強く輝いている手前に1本の主となる被写体を置き、縦位置の構図を上手に撮影しています。独特な色合いで味わい深い写真となっています。
学生部門

金賞
撮影者: 小林 修
題名 : 物憂げ
講評 : 赤いバスが目に入り、視線はバスに乗車する一人の女性へと流れます。スコールでしょうか、雨がこの写真の主としている被写体の表情をより演出している様にみえます。女性の物憂げなその表情と無駄のないしっかりとしたフレーミングで構成され、1枚の写真の強さというものを実感させられる、そんな作品です。
銅賞
撮影者: 阿部 佑紀
題名 : 18歳のある朝
講評 : 受験勉強中に居眠りをしてしまったのでしょう。主としている被写体がスタンドにかかっている御守りであるかの様です。願いと愛を感じる写真です。
銅賞
撮影者: 今井 菜々美
題名 : Water girls
講評 : とても楽しそうです。なかなか、制服で水の中に入ることもないでしょう。思い出の1枚にもなっていると思います。テンション高くはしゃいでいるこの場の雰囲気も伝わります。
銅賞
撮影者: 大平 茉里奈
題名 : 今日も
講評 : 今日も、とタイトルにありますが、いつもの笑顔を表現したかったのでしょうか。祖父を思わせます。とてもリラックスをしている安心した良い表情の笑顔を捉えていて、顔頬に添えた指が少しの照れを感じさせます。
銅賞
撮影者: 権瓶 さくら
題名 : 待ち人
講評 : とても美しいグラデーションを標識と人をシルエットにデザインされた構図で撮影されています。人の横顔であることで待ち人が女性なのだと連想させます。スキッとして気持ちのいい写真です。
銅賞
撮影者: 沼倉 洋介
題名 : 三つの路
講評 : 3つの路とタイトルにあります。作者の心情でしょうか。晴れ澄んでいる広い空に緑の路ですが、手前にある朽ちた物を入れたことから単なる風景写真ではない様に伝わります。
主 催 株式会社 新潟フジカラー
たくさんのご応募ありがとうございました。 受賞者一覧はこちらです