<総評> 写真家審査員 清水哲朗

コロナ禍に置かれて1年半以上。あれもこれもが中止になった2020年よりは世の中が動いているような気がしますが、プロアマ関わらず撮影者にとっては厳しい状況が続いています。昨年の総評で「見る側、評価する側の価値観も変わり、足元を見直すきっかけを与えてくれた年。新潟県は長く面積も大きく、文化・慣習・風景などの被写体に恵まれている。地元の魅力を再発見したり、身近な被写体にレンズを向けるようになったり、過去の作品を発掘したり、写真との向き合い方を考えさせられる時間になるかも」と書きましたが、それに応える応募作品が多くあったのはみなさんが地元で楽しんでいる証拠と感じました。今年もそれは変わらず「いま撮れるものを撮る」で楽しみましょう。
ちょっと気になったのは<自由部門>の人との撮影距離です。これまでも恥ずかしくて声がけできなかったり、肖像権を意識するあまり横顔や後ろ姿を狙う逃げの作品が多くあることを危惧していましたが、新型コロナ感染予防対策でソーシャル・ディスタンスを取ることでこれまで以上に写真的な遠慮が生まれてしまい、雰囲気重視のアプローチが増えたように感じました。高評価につながるアプローチ変化なら良いのですが、マイナス評価されてしまうのは技術的な劣化になります。広角で被写体に大胆に迫るアプローチはしばらく我慢かもしれませんが、視点を変え、標準や望遠による「逃げではない」アプローチをこの機会にぜひマスターしていただければ幸いです。<ネイチャー部門>は県内で十分な撮影できているようで安心しましたが、人工物が主体的に入っているものを<自由部門>ではなくこちらにエントリーしてしまうとどんなに良い作品も選外とせざるを得ませんのでご注意ください。プリントクオリティは相変わらず高く、安心して作者の表現世界に入ることができました。プリント応募の場合、本コンテストに限らず、審査員は内容とともに最終着地点である仕上がりも含めた作品評価をしますので上質なプリントでの応募をすることは重要です。
最後に2年連続で新潟に伺えず、皆様のお顔を拝見できないのがとても残念ですが、作品を通じて皆様と再会できたことに感謝しております。FPC新潟フジカラーフォト倶楽部さまの今後ますますのご発展と会員の皆さまのご健勝を心よりお祈り申し上げます。

グランプリ

  • グランプリ
    撮影者 金子範夫
    題名 「花畦残照」
    講評
    金色に輝く夕日の色合いと広角レンズのパースペクティブ(遠近感)誇張によるインパクト溢れるイメージに圧倒されました。花撮影は癒しを与えるやわらかいアプローチが多いですが、作者は生命力を感じさせる視点でたくましさを表現。弱肉強食の厳しい世界ではなく、それぞれが主役として生き抜こうとする「群落での競演」を描くことで見る側に勇気と活力を与えてくれます。畦道で繰り広げられる小さなドラマも、想像力を掻き立てることで大きなスケールに感じますね。

ネイチャー部門 金賞

  • ネイチャー部門 金賞
    撮影者 須田孝子
    題名 「瞬間」
    講評
    食べ物をめぐるオオワシの争いを高速シャッターで臨場感よろしく激写しています。鋭い眼光と脚、翼の使い方が興味深く、声まで聞こえてきそうです。翼を広げると人間以上にもなる猛禽類の迫力が伝わってきます。その日の運やアプローチで左右される被写体だけにチャンスをモノにした傑作です。

ネイチャー部門 銀賞

  • ネイチャー部門 銀賞
    撮影者 小湊正光
    題名 「藁塚」
    講評
    この妖しい存在感はなんでしょうね。人の手が入ったからそう見えるのか、日々の発酵によってもたらされるものなのか、被写体との距離感やレンズワークによるものなのか。モノクロ化したことで想像力が掻き立てられたのもあるでしょう。モノクロでの里山表現の可能性を感じました。

ネイチャー部門 銅賞

  • ネイチャー部門 銅賞
    撮影者 今井久輔
    題名 「静寂」
    講評
    息を飲むほどの神秘的な光景。ここに白馬が佇めば東山魁夷『緑響く』の世界。それをイメージしながら作者はシャッターを押したのでしょうが、見る側も同様の印象を抱きながら作品世界に浸ってしまいます。漂うガスの雰囲気を利用し、無駄のない画面構成で丁寧に表現したのが功を奏しました。

ネイチャー部門 優秀賞

  • ネイチャー部門 優秀賞
    撮影者 三浦二郎
    題名 「夏の水辺」
    講評
    トップライト気味に手前に影を落とすように捉えたオニバス。花茎が葉を突き破って出ることは知っていても見慣れないだけに不思議なものを見る感覚になります。後方の葉も立体感を生み、効果的でした。
  • ネイチャー部門 優秀賞
    撮影者 羽田寿弘
    題名 「波濤に舞う」
    講評
    冬の日本海でしょうか。独特の暗さの中、波間を切るように飛ぶ海鳥の群れを高感度と高速シャッターで見事に活写しています。ザラザラとしたノイズも荒々しさと臨場感演出につながりました。
  • ネイチャー部門 優秀賞
    撮影者 笹川悟郎
    題名 「どっちに行こうか」
    講評
    岐路に咲く美しい花々。花のつき具合を見れば太陽の当たる左側へ、透過光で狙うならば右側へ進もうか。道を主題、花を副題としているならば自由部門への応募が望ましかったかもしれません。
  • ネイチャー部門 優秀賞
    撮影者 北谷忠雄
    題名 「冬のかけら」
    講評
    幾何学模様を湖面に描く春の風物詩をバランスのとれた構図で捉えています。日々変幻するだけに何度見ても惹かれる魅力がありますが、どれが正解というアプローチもない難しい被写体です。
  • ネイチャー部門 優秀賞
    撮影者 青木茂男
    題名 「夜桜流星」
    講評
    タイトルがすべてを表していますが、これだけ理想的に写るとおとぎ話の世界そのものです。夜空とのバランスを意識してうっすらと光を当てた桜の具合もちょうど良く完成度の高い作品になりました。

ネイチャー部門 入選

  • ネイチャー部門 入選
    撮影者 涌井忠司
    題名 「川のほとりで」
    講評
  • ネイチャー部門 入選
    撮影者 目黒綾子
    題名 「涼風」
    講評
  • ネイチャー部門 入選
    撮影者 長谷川 隆
    題名 「着水」
    講評
  • ネイチャー部門 入選
    撮影者 西山雅之
    題名 「モンスターの髭」
    講評
  • ネイチャー部門 入選
    撮影者 立川政義
    題名 「秋光」
    講評
  • ネイチャー部門 入選
    撮影者 斎藤達彦
    題名 「山霧」
    講評
  • ネイチャー部門 入選
    撮影者 木村重好
    題名 「蓮」
    講評
  • ネイチャー部門 入選
    撮影者 堅田征子
    題名 「トンボさん」
    講評
  • ネイチャー部門 入選
    撮影者 大久保玲子
    題名 「水に輝く」
    講評
  • ネイチャー部門 入選
    撮影者 今井岩雄
    題名 「雨にも負けず」
    講評

自由部門 金賞

  • 自由部門 金賞
    撮影者 金子克巳
    題名 「さよなら」
    講評
    くたびれたイス、日の傾き、手を振る影。そこにタイトルをかぶせれば、作者がもう何と言おうと「在りし日の面影」となり、その人がそこに座っていた気配や残像といった「見えない何か」を感じざるをえません。見る側の知識や経験、先入観を利用した写真表現は見応え、読み応えがあります。

自由部門 銀賞

  • 自由部門 銀賞
    撮影者 安部 諭
    題名 「幻想」
    講評
    一瞬にして惹き込まれるタイトル通りの世界。ホタル狩りはイメージはあってもなかなか撮れないシーンのひとつでした。デジタルカメラの進歩がその欲求に応えてくれる時代になりましたが、作者の技量もないと実を結びません。画面構成、ホタルの飛翔タイミング、露出選択含め、素晴らしい一枚です。

自由部門 銅賞

  • 自由部門 銅賞
    撮影者 上杉正春
    題名 「天使の笑顔」
    講評
    よほど楽しかったのでしょう。これ以上ない満面の笑みに見ている側も癒されます。背景からの浮かばせかた、鯉のぼりの配置、絶妙なボケ具合は誰もが「いい写真」と納得するでしょう。ただ、後ろ向きマスク姿のお母さんは意味深で気になります。表情を見せたらより素敵な思い出になりました。

自由部門 優秀賞

  • 自由部門 優秀賞
    撮影者 穂苅 環
    題名 「祭り見物」
    講評
    食事中にたまたま祭りの列が通過したのか。それとも食事をしながら見られるベストポジションを選んだのか。なんだろうという眼差しは前者ですかね。被写体探しに長けた作者の視点にあっぱれです。
  • 自由部門 優秀賞
    撮影者 手島岱月
    題名 「収穫の楽しみ」
    講評
    広角レンズで迫ったことで男性の声や息づかい、山菜の匂いまで伝わってきそうです。奥の女性の表情も和やかで良いです。タイトルは「楽しみ」が入ると収穫以外の別要素が必要になるため不要でした。
  • 自由部門 優秀賞
    撮影者 斎藤日出子
    題名 「精霊流し」
    講評
    先祖の霊の送りかたは土地によって様々ですが、この形態は珍しい部類に入りそうですね。狙いも撮影ポジションも的確で良いですが、組写真の方が記録、内容、理解度に深みが出る表現ができそうです。
  • 自由部門 優秀賞
    撮影者 小山 覚
    題名 「希望の朝」
    講評
    写っているのが誰かはわかりません。ただ、手すりの多い廊下にまばゆい朝の光を背に車椅子に乗った人物がいる視覚情報と「希望」の文字情報に一人の人間として心が揺さぶられました。
  • 自由部門 優秀賞
    撮影者 小林ゆり子
    題名 「春爛漫」
    講評
    望遠レンズの圧縮効果と前ボケにより麗らかな春を感じます。人物も手前・中央・奥とバランス良くいることでリズミカルな奥行きが生まれました。全ての桜が満開だとさらに華やかに写りそうですね。

自由部門 入選

  • 自由部門 入選
    撮影者 上野正道
    題名 「砂塵舞う」
    講評
  • 自由部門 入選
    撮影者 大澤昭広
    題名 「野焼き」
    講評
  • 自由部門 入選
    撮影者 田中日登志
    題名 「夢の中」
    講評
  • 自由部門 入選
    撮影者 蝶名林 稔
    題名 「送り盆」
    講評
  • 自由部門 入選
    撮影者 塚原幸子
    題名 「負けるものか!」
    講評
  • 自由部門 入選
    撮影者 畠山正樹
    題名 「母から娘へ」
    講評
  • 自由部門 入選
    撮影者 山中 巌
    題名 「兄弟」
    講評
  • 自由部門 入選
    撮影者 山本洋子
    題名 「かくれんぼ」
    講評
  • 自由部門 入選
    撮影者 渡邊 隆
    題名 「希望のジャンプ」
    講評
  • 自由部門 入選
    撮影者 横野 功
    題名 「厳寒の朝」
    講評