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第19回新潟フジカラーフォトグランプリ審査、総評と講評

審査:清水哲朗

▪️総評
一気にフェーズが変わった印象を受けました。新規や県外応募者によって新しい風が吹いたこともありますが、全体的に作品の質も内容もより高いレベルになったことに驚きを隠せません。学生部門を含め、新潟県の写真愛好家の創作意欲にこれまで以上の勢いを感じ、審査をしながら武者震いが止まりませんでした。グランプリ、準グランプリが偶然、馬の作品になりましたが、今年の干支は「午」。アプローチは違うものの、馬を題材にした応募作品が多かったのも事実です。選者も少なからず意識してしまったのは否定できませんが、実力ある作品が上位に選出されるのは当たり前のこと。来年のフォトグランプリ応募作品が来年の干支「未(ひつじ)」で溢れることはないでしょうが、今回の素晴らしい作品の数々を見れば、第20回の節目となる次回の内容も今から大きく期待できそうです。素晴らしい作品を多数応募いただいた皆さん、そして、名作の数々を素晴らしいプリントクオリティで仕上げている町の写真屋さん、新潟フジカラーの皆さんのご尽力で見応えのある審査となりましたことを心より感謝申し上げます。

グランプリ

熊木理
「黎明に立つ」

光のとらえかた、画面構成、諧調再現とプリントから発せられる近寄り難いほどの気品さに一瞬にして惹き込まれました。これまでのフォトコンテスト表現とは一線を画すアプローチは写真作家が目指す領域であり、見るほどに広がる世界観に作者の非凡な才能を感じました。大伸ばしプリントを装飾された金額縁に飾ったらより見栄えがしそうです。

準グランプリ

★ネイチャー部門

金賞

櫻木俊介「森の吐息」

金色に包まれる朝の森の美しさに言葉を失います。光、水、生命の息づかいが静かに混ざり合いながらも強く存在を示しています。言葉は不要、感じて味わう素晴らしい作品です。

金賞

北村真美「親子日和」

純真無垢な子猿の瞳と我が子を大事に守る母の姿に胸を打たれます。子猿の瞳に映る景色には青空が広がり、麗かな日に穏やかな時間を過ごしているのが伝わってきました。

銀賞

小湊正光「自然の織物」

霜が降りたことで何気ない光景も美しく見えてしまう魔法がかけられたようです。光を帯びたそれらはいきいきと布を被ったお化けのような姿で見る者に存在を主張しています。

銀賞

西巻正「わが子なれば」

ホバリングしながら空中給餌する親ツバメとそれを受け止める幼鳥の愛らしさ。写真ではゆっくりと見られますが、実際は一瞬の光景。それを逃さずとらえた作者の技量が見事です。

銀賞

高橋典子「いただきます」

ガツガツと頬袋一杯に溜め込む姿をとらえたかわいいキタリス作品はありますが、それにはない上品さがあります。目を瞑り味わう姿はまるで食への感謝をする僧侶のようです。

銅賞

金子範夫「残り柿」

雪降る晩に暗黒から浮かび上がる柿の木にドキッとさせられます。人気の被写体もアプローチを変えると印象はガラリと変わり、独特の緊張感で表現したのが功を奏しました。

銅賞


渡辺久子「夏もよう」

着眼点にハッとさせられました。気がつかなければ通り過ぎてしまう小さな光景ですが、写真になるとこれほどまでに力強く印象的に季節感まで表現できる名作が誕生するのですね。

銅賞

上杉正春「集団」

電線電柱に隙間なく止まるムクドリの大集団に圧倒されます。一番高い場所を巡って小競り合いしている姿は生態をよく表していますが、鳥獣人物戯画のような滑稽さもあります。

銅賞

昆千秋「湖中の樹」

根元に土がないと脳が不思議な反応を起こしますが、主題の存在感と映り込みの美しさが印象的で余韻が広がります。湖畔の色づいた木々や湖面を漂う霧にも風情があります。

銅賞

古沢大輔「秋霧をまとう岩山」

紅葉、柱状節理、秋霧の三役揃い踏みは情感に溢れ、深まる季節を感じます。悪天候を受け入れ、季節の狭間、移ろいを丁寧に表現できる作者は今後も良い作品を残すでしょう。

銅賞

山本勝栄「時は流れて」

この光景を見逃さない視点に嫉妬します。他者の作品を見る面白さは世の中の見落としを気づかせてくれること。見る側の想像力を働かせる表現を意図して狙う作者は策士です。

銅賞

渡邉周子さん「はちあわせ」

オオヨシキリとハチのサイズ感、距離の描写、洒落たタイトルが好印象の作品。大胆な空間構成は季節感にあふれ、ステージを目一杯使っている歌手のようで見応えありました。

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★自由部門

金賞

酒居誠「私、失敗しないので」

もしものことを想像すると緊張が走る、信用と信頼が求められる場面。タイトルはドラマの名ゼリフにかけていますが、職人の手先と牛の目のフォーカスの仕方が絶妙でした。

金賞

宮澤健二「ないしょばなし」

聞こえない話ほど聞きたくなるもの。墓前で喪服を着た二人の真剣な表情を見たらそこへの興味は高まるばかり。作者は存在感を消し、臨場感よろしく撮ったことに感心しました。

銀賞

鴨井孝夫「サンヨ!サンヨ!」

撮影ポジション、構図、シャッタータイミングどれもが素晴らしく、福札を求める男衆の熱気が伝わってきます。欲しいものを得ようとするときの人間性がよく描写されています。

銀賞

近藤早苗「貴婦人の力走」

SLといい、レールの角度といい、黒煙の上がり具合といい、狙いすました完璧なイメージは周到に準備をした賜物。狙った獲物は逃さない作者の熱意と技量の高さを感じました。

銀賞

大澤竜介「朝どりゴールドラッシュ」

我々が美味しいものをいただけるのは見えないところで日々頑張っている方がいるから。朝日が昇る頃にはすでに車1台分の収穫が終わっている。思いの伝わる素敵な作品です。

銅賞

斎藤日出子「初めての鬼」

最高の瞬間、最高の表情を収めることに成功しました。大泣きする赤ちゃんはよほど怖かったでしょうが、母親の表情との対比は作者が求めていた以上の結果ではないでしょうか。

銅賞

坂井征栄一「夕陽を浴びる」

海辺での乗馬疾走は気持ち良いでしょうね。この時間帯のシルエット撮影はどれもフォトジェニックになりますが、奇跡的な位置に入る太陽は狙っていたとしたら凄い実力者です。

銅賞

岩間幸子「にわか撮影会」

薬局の前でモデル撮影をするとはまさに「にわか」ですが、撮影者たちの表情は真剣そのもの。一般人が多い場所での集団撮影は側から見れば妙な光景を見事滑稽に描いています。

銅賞

渋木高志「斜光」

年代物の時計にうっすらと射す光。その光を掬い取るように描写したことで印象的な作品が生まれました。良い光に撮らされることはあってもコントロールできる人は限られます。

銅賞

名久井馨「清めサイトギ」

冷え込んだ晩の水垢離。こともなげに水をかぶる男性の潔さ、覚悟、集中力の高さが美しく描写されています。動画にはない、一瞬を切り取る写真の魅力を再認識しました。

銅賞

庭野昇「横撮り」

皆が良い表情を浮かべているとどの角度から見てもそれが伝わります。並び的には作者のいるポジションから記念撮影したのでしょうが、こういうアザーショットも素敵ですね。

銅賞

田邊留美子「色のまなざし」

作者を見つめる瞳に感情がこもっています。玩具を楽しんでいるようでそうではない、訴えかけるような眼差しにドキッとしました。こういう表情も大切な成長記録です。

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★学生部門

金賞

河井洸大郎(中越高等学校)
「平和な日常」

住む者にとって家とは安心できる場所。空気のように当たり前に一緒にいる存在もいるならば心理的不安もありません。すべてが満たされた食後は血糖値が上昇し眠気が襲ってきます。目を瞑ったら最後、うとうとするのは自然の流れですが、まさかその姿を家族が写真に撮るとは思ってもみなかったでしょう。奥で洗い物をする人との対比が皮肉な傑作です。

銀賞

佐藤空河(新発田農業高等学校)
「一線集中」

見た瞬間に「良い写真」と思えるのは被写体との信頼関係を感じるから。作業よりもカメラに集中しているのが可笑しいですが、身近な人を記録したくなるのは写真の原点です。

銀賞

荻原慈音(葛塚小学校)
「茜色の夕焼け」

美しい夕景に素直に反応しています。低い位置からのリフレクションアプローチで現実と映り込みを4:6でとらえたバランスが良くどちらも生かしたのが高評価につながりました。

銅賞

小栁七海(新潟県立加茂農林高等学校)
「宣材写真」

人物像が伝わるのはポートレートの基本。表情もポーズも最高、自らが撮られに行っています。どこかで見覚えのある方だと思ったら前回もこの親子の作品にしてやられていました。

銅賞

後藤琉希(新潟県立加茂農林高等学校)
「赤ちゃんはかわいいがいっぱい!」

絶妙な空間構成でかわいい瞬間を激写しています。興味津々に作者を見ていますが、タイトルを読むと作者も同じように見ていたのかもしれません。好奇心は名作を生む源です。

銅賞

鈴木えみ(中越高等学校)
「Princess.」

タイトルが複数形でないため、二人ととらえるか一人の人物の表裏ととらえるかで印象が変わります。あえて語らず写真の読み手に任せるのも表現。明るさに希望を感じました。

銅賞

梨本恵未莉(新潟農業大学校)
「清々しい朝」

八重桜と太陽を真逆光で撮り、暗部を持ち上げる力技の作品ですが、嫌味は感じません。感じるものを感じたままに撮る、表現するのが写真との向き合いかた。良い朝を迎えましたね。

銅賞

青木陽詩(新潟市立明鏡高等学校)
「アルパカさんもハロウィーン」

手入れされた毛並みと季節感あふれるイベント衣装まで施されたアルパカはもはや生きるぬいぐるみ。違和感なく飼育員さんと散歩する姿、光景はある意味で現代の記録です。

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